更年期には、女性ホルモンの減少により身体的、心理的、社会的な変化が起こり、様々な症状が現れることがあります。
今回は、一般的な更年期症状とそれらを和らげるためのセルフケアの方法をご紹介します。
ホットフラッシュ(ほてり・ほお赤み・汗など)
ホットフラッシュは、更年期に多く見られる症状の一つで、突然のほてりや汗、心拍数の上昇、ほおの赤みなどが現れます。ホットフラッシュの原因は複数あり、以下のようなものが考えられます。
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体温調節機能の変化
更年期には、女性ホルモンの減少により、体温調節機能が変化します。例えば、体温を下げる汗をかく量が減り、体温を上げる血管拡張の反応が活発になるため、ほてりや汗が出るようになります。
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精神的ストレス
ストレスがあると、交感神経が活発になり、ホルモンバランスが乱れ、ホットフラッシュが起こりやすくなります。
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飲酒やカフェインの摂取
アルコールやカフェインを摂取すると、交感神経が活発になり、体温が上昇し、ホットフラッシュを引き起こすことがあります。
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喫煙
タバコに含まれるニコチンは、交感神経を刺激し、体温が上昇し、ホットフラッシュを引き起こすことがあります。
- 身体的活動
身体的な活動やストレッチを行うことで、交感神経が刺激され、体温が上昇し、ホットフラッシュが引き起こされることがあります。
また、衣服を軽くして、エアコンや扇風機を使って体を冷やすことも有効です。
疲れやすさ
更年期の女性が疲れやすい原因は、以下のようなことが考えられます。
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ホルモンの変化
女性ホルモンの減少により、体調や精神状態が不安定になり、疲れやすくなることがあります。
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睡眠の質の低下
睡眠の質が低下し、夜中に何度も目が覚めたり、寝付きが悪くなったりすることがあります。その結果、疲れがたまりやすくなることがあります。
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ストレス
家庭や職場などでのストレスが増えることがあります。ストレスを感じると、交感神経が刺激され、疲れやすくなることがあります。
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生活習慣の変化
運動不足や食生活の乱れ、喫煙や過剰なアルコール摂取など、生活習慣が変化することがあります。これらの生活習慣の変化が疲れやすさの原因になることがあります。
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病気や薬の副作用
更年期には、高血圧、糖尿病、うつ病などの病気にかかるリスクが高まります。また、これらの病気の治療に用いる薬の副作用によっても疲れやすくなることがあります。
睡眠を十分にとること、バランスの良い食事を心掛けること、適度な運動をすることが大切です。また、ストレスを減らすためにはリラックスする時間を持つことも重要です。
不眠
更年期の女性の不眠の原因は、以下のようなことが考えられます。
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ホルモンの変化
更年期に入ると、卵巣から分泌されるエストロゲンの量が減少し、ホルモンバランスが崩れます。この影響で、深い睡眠の量が減り、目覚めやすくなったり、夜中に何度も目が覚めることがあるとされています。
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ホットフラッシュ
更年期の女性の4割程度が、ホットフラッシュを経験します。ホットフラッシュは、急激に体温が上昇することで起こる発汗や熱感で、夜中に起こると寝汗が出たり、体温調節がうまくできずに寝苦しくなることがあります。
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ストレス
更年期には、家庭や職場などでのストレスが増えることがあります。ストレスを感じると、交感神経が刺激され、体が緊張状態になり、眠りが浅くなることがあります。
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痛みや不快感
更年期には、関節痛や頭痛、腰痛などの痛みや、胃腸の不快感、息切れなどの身体的な不快感が増えることがあります。これらが夜中に起こると、眠りを妨げることがあります。
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生活習慣の変化
運動不足や食生活の乱れ、喫煙や過剰なアルコール摂取など、生活習慣が変化することがあります。これらの生活習慣の変化が、不眠の原因になることがあります。
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睡眠時無呼吸症候群
更年期の女性には、睡眠時無呼吸症候群が起こることがあります。この症状は、睡眠中に一時的に呼吸が止まったり、浅い呼吸になったりすることで、夜中に何度も目が覚めたり、息切れや口や喉の乾燥感を感じたり、頭痛や疲れを引き起こすことがあります。
これらの原因によって、更年期の女性は夜中に何度も目が覚めたり、眠りが浅くなったりすることがあります。不眠によって疲れがたまることで、更年期の他の症状が悪化することもあります。
寝室を快適に保ち、就寝前にリラックスするために、アロマや音楽などを取り入れることが効果的です。また、運動は良質の睡眠を促進するため、日中に適度な運動を行うことも大切です。
関節痛やこわばり
更年期の女性に起こりやすい関節痛の原因は、以下のようなものが考えられます。
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ホルモンの変化
更年期の女性は、卵巣機能が低下することによって、エストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは、骨密度を維持するために重要な役割を果たしており、エストロゲンの減少によって骨密度が低下することで、骨や関節に痛みが生じることがあります。
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炎症反応
更年期になると、体内の炎症反応が増加することがあります。この炎症反応が関節にも及ぶことで、関節痛が生じることがあります。
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運動不足
運動不足や筋力低下は、関節の痛みを引き起こすことがあります。更年期になるにつれ身体活動量が低下することがあります。そのため、関節周辺の筋肉が弱くなり、関節に余計な負担がかかることで痛みが生じることがあります。
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ストレス
ストレスは、体内の炎症反応を増加させることがあります。また、ストレスは筋肉の緊張を引き起こすことがあります。筋肉が緊張したままになると、関節にも負担がかかり、関節痛が生じることがあります。
適度な運動、ストレッチ、マッサージなどが症状緩和に役立ちます。また、炎症を抑える効果のある食品(例:魚、ナッツ、オリーブオイル)を積極的に摂取することもおすすめです。
精神的な症状
更年期に精神的な症状が起こる原因は、以下のようなものが考えられます。
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ホルモンの変化
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が減少します。これによって、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることがあり、気分の落ち込みや不安感などの精神的な症状が生じることがあります。
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ストレス
家庭や仕事などのストレスが増えることがあります。また、ホルモンの変化によって、ストレスへの対処能力が低下することがあります。これらのことが原因で、精神的な症状が生じることがあります。
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睡眠障害
更年期になると、ホットフラッシュや夜汗、不快感などの症状が生じることがあります。これによって、睡眠障害が生じることがあり、睡眠不足が続くことで、気分の落ち込みやイライラなどの精神的な症状が生じることがあります。
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身体的な不調
更年期になると、体調不良や身体的な不調が生じることがあります。これによって、気分の落ち込みや不安感などの精神的な症状が生じることがあります。
不安、イライラ、うつなどの精神的な症状には、ストレスを減らす方法、リラックス法、心理カウンセリングなどが効果的です。また、積極的に社交的な活動に参加することで、社会的なつながりを持つことも重要です。
骨密度の低下
更年期に起こる骨密度の低下には、以下のような具体的な原因があります。
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ホルモンの変化
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは骨の形成に必要なホルモンであり、その減少によって骨の形成が妨げられ、骨密度が低下することがあります。
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栄養不足
骨を構成するカルシウムやビタミンD、マグネシウムなどの栄養素が不足すると、骨の形成に必要な材料が不足し、骨密度が低下することがあります。
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運動不足
運動不足や身体活動の減少によって、骨に刺激が与えられず、骨密度が低下することがあります。
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喫煙や過剰なアルコール摂取
喫煙や過剰なアルコール摂取は、骨の形成を妨げるため、骨密度が低下する原因となります。
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遺伝的な要因
骨密度は、遺伝的な要因によっても決まります。家族に骨粗しょう症の人がいる場合は、自分自身も骨密度の低下に注意する必要があります。
骨密度を維持するためには、適度な運動やカルシウムやビタミンDを含む食品の摂取が大切です。また、喫煙や過剰なアルコール摂取を避けることも、骨密度を維持するために重要です。
膣の乾燥や萎縮
更年期に膣の乾燥や萎縮が起こる原因は、以下のようなものがあります。
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ホルモンの変化
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは、膣の粘膜や筋肉の健康維持に必要なホルモンであり、その減少によって、膣の粘膜が薄くなり、膣の筋肉が弱くなることがあります。これによって、膣の乾燥や萎縮が起こることがあります。
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乳がんの治療
乳がんの治療に用いられるホルモン療法や化学療法は、女性のホルモンバランスを変化させるために使用されます。このため、これらの治療によって膣の乾燥や萎縮を引き起こすことがあります。
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ストレス
ストレスは、膣の乾燥や萎縮を引き起こす可能性があります。ストレスによって、体内のホルモンバランスが崩れ、膣の健康に影響を与えることがあります。
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喫煙
喫煙は、膣の健康に悪影響を与えることがあります。喫煙によって、体内のエストロゲン量が減少し、膣の乾燥や萎縮を引き起こすことがあります。
症状を和らげるためには、保湿剤を使ったり、水分を十分に摂取したり、膣エストロゲン製剤を使用することが効果的です。
性的な機能の変化によるストレスを軽減するためには、パートナーとオープンに話し合い、相手に理解を求めることが大切です。
まとめ
今回は、一般的な更年期症状とそれらを和らげるためのセルフケアの方法を6つご紹介しました。ストレス軽減やリラックスのためにもアロマテラピーを積極的に取り入れることもおすすめです。
更年期のケアによく使われる精油
アロマテラピーで使われる精油の中には、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをするものや、自律神経のバランスを調整する働き、リラックス効果、リフレッシュ効果などが期待できます。
ディフューザー(芳香機)を活用した芳香浴、植物オイルで希釈してセルフマッサージになどに用いることで、ストレスの軽減や安眠にも繋がります。
必要に応じて、アロマセラピストなどに相談されることがおすすめです。
- クラリセージ
- ローズ
- マジョラム
- フェンネル
- ゼラニウム
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